きょうだい育児、上の子・下の子への向き合い方 夫婦で足並みを揃えるヒント
きょうだいが生まれてからの子育て、上の子・下の子への向き合い方で悩んでいませんか
お子さんが一人から二人へ、あるいはそれ以上に増えたとき、子育ての状況は大きく変化します。新しく生まれた下の子に手がかかる一方で、それまで一番だった上の子への関わり方に戸惑ったり、それぞれの年齢や個性に応じてどう接すれば良いか悩んだりすることは少なくありません。
上の子には我慢させてしまっているのではないか、下の子のペースに合わせてばかりで良いのだろうか、といった不安を感じたり、夫婦で対応が異なってしまい、どうすれば良いか分からなくなったりすることもあるかもしれません。きょうだいそれぞれへの適切な向き合い方を見つけ、夫婦で協力していくためのヒントをいくつかご紹介します。
異なる関わり方を理解し、夫婦で共有する
きょうだいがいる場合、一人ひとりの年齢や発達段階、性格によって、必要なサポートや関わり方は異なります。たとえば、生まれたばかりの下の子には物理的なお世話が中心になりますが、上の子には心のケアや、新しい環境への適応を手助けすることが重要になるでしょう。
「平等にしなければ」と考えがちですが、大切なのは時間や物を「同じ量」与えることではなく、一人ひとりの子どもがその時に必要としているものを「公平に」与えるという視点です。上の子が甘えたいときは存分に甘えさせてあげる時間を作る、下の子が自分でできることが増えてきたら上の子への声かけのバランスを変えるなど、柔軟な対応が必要です。夫婦で「今、それぞれの子どもにはどんな関わり方が必要か」を具体的に話し合い、共通理解を持つことが、対応のブレをなくす第一歩となります。
上の子の時間、下の子の時間、そして家族の時間を作る工夫
きょうだいが生まれると、どうしても下の子に手がかかり、上の子が寂しい思いをしていないか心配になることがあります。特に上の子がまだ小さい場合、「赤ちゃん返り」のような行動が見られることもあります。これは愛情不足からではなく、新しい環境への適応反応や、親の愛情を再確認したいサインと捉えることができます。
このような時期には、夫婦で協力して、上の子と一対一で向き合う時間を作ることを意識してみましょう。例えば、一方が下の子のお世話をしている間に、もう一方が上の子と短時間でも遊ぶ、絵本を読むなど、上の子だけと向き合う特別な時間を持つようにします。また、下の子が寝ている間に上の子と関わる、家族みんなで過ごす時間の中でそれぞれの良いところを認め合うなど、子どもたちが安心感を得られるような工夫が有効です。
日常の小さな出来事を共有し、対応を擦り合わせる
子育て中の日常は目まぐるしく、上の子が下の子に優しくしてくれたこと、反対にちょっかいを出してしまったこと、下の子が新しくできるようになったことなど、様々な出来事が起こります。これらの小さな出来事を夫婦でこまめに共有することが、それぞれのの子どもの状況を把握し、対応を擦り合わせる上で役立ちます。
夕食後や子どもが寝た後など、少しの時間でも良いので「今日こんなことがあったね」「この時、どう対応するのが良かったかな」といった会話を持つようにします。これにより、お互いが日中どのような状況で子育てをしていたのかを理解でき、次に似たような状況が起きた時の対応について、事前に話し合っておくことができます。情報共有が十分でないと、上の子にきつく当たってしまったり、下の子の要求に気づけなかったりといった事態につながりやすくなるため、意識的な情報交換が大切です。
完璧を目指さず、夫婦で「これで大丈夫」と認め合う
きょうだいそれぞれに丁寧に向き合いたい、夫婦で常に同じ方針で接したい、という理想を持つことは素晴らしいことですが、現実には毎日全てを完璧に行うことは難しいものです。時には上の子に強く言ってしまったり、下の子のサインを見逃してしまったりすることもあるでしょう。
そのような時でも、自分自身やパートナーを責めるのではなく、「今はこれで最善だった」「大変だったけれど乗り越えられたね」と認め合うことが大切です。育児に「こうしなければならない」という唯一の正解はありません。夫婦で「今日の乗り越え」を認め合い、ねぎらいの言葉をかけ合うことで、お互いの精神的な負担を軽減し、また明日からの子育てに向かうエネルギーを養うことができます。
まとめ
きょうだいのいる子育ては、一人ひとりの成長に寄り添う喜びがある一方で、それぞれへの向き合い方や夫婦での協力について悩む場面も多くあります。今回ご紹介したように、きょうだい一人ひとりの違いを理解し、それぞれの年齢や状況に応じた「公平な」関わり方を意識すること、上の子や下の子とそれぞれ向き合う時間、そして家族みんなで過ごす時間を大切にすること、そして日常の出来事を共有し、完璧を目指さずにお互いを認め合うことが、夫婦で足並みを揃え、きょうだい育児を乗り越えていくための力となるでしょう。
完璧を目指さず、夫婦で協力し、柔軟な気持ちで日々の子育てに向き合っていくことが、お子さんたちにとっても、そして夫婦自身にとっても、穏やかで豊かな時間につながるのではないでしょうか。