育児中の「母親だから」「父親だから」プレッシャー、夫婦でどう手放す? 性別にとらわれない子育てのヒント
子育てが始まりますと、それまで意識していなかった「母親像」や「父親像」といったものに触れる機会が増えることがあります。社会や周囲、あるいは自分自身の中に根付いている無意識の期待によって、「母親だからこうしなくては」「父親だからこうあるべき」といったプレッシャーを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
このような性別による固定的な役割意識は、夫婦双方にとって負担となり、また子育ての進め方や家事分担を巡るすれ違いの原因になることもあります。本来、子育ては夫婦で協力して築き上げていくものです。性別にとらわれすぎず、お互いがより自分らしく、そして協力的に子育てに取り組むためには、どのような視点を持つことが大切なのでしょうか。今回は、育児中の性別役割に関するプレッシャーを手放し、夫婦で柔軟に子育てを進めるためのヒントをお伝えします。
無意識の役割期待に気づく
まず大切なのは、自分自身がどのような性別役割分業の意識を持っているのかに気づくことです。当たり前だと思っていること、例えば「朝食の準備は母親がするもの」「外でしっかり稼ぐのは父親の役目」といった考えが、自分の中に無意識のうちにないか、少し立ち止まって考えてみる時間を持つことも有効です。
そして、パートナーがどのような考えを持っているのか、日頃の何気ない会話を通して知ろうとすることも重要です。お互いの育ってきた環境や価値観によって、持っている固定観念は異なります。それを認識することから、柔軟な協力体制への第一歩が始まります。
役割ではなく、「できること」「やりたいこと」で分担を考える
子育てや家事の分担を考える際に、性別で「誰が何をするべきか」と決めるのではなく、「夫婦それぞれが得意なことは何か」「苦手なことは何か」「あるいは、その時々の状況に応じてどちらが負担なくできるか」という視点で考えてみるのはいかがでしょうか。
例えば、子どもをお風呂に入れるのはパートナーの方が慣れている、週末のまとめての買い物は自分が得意だ、といったように、互いの特性や状況に合わせてタスクを分担することで、効率が上がり、どちらか一方に負担が偏ることを防ぐことができます。「誰がやるか」に固執するのではなく、「どうすれば夫婦双方の負担が軽くなり、家庭全体が円滑に回るか」という建設的な視点を持つことが大切です。
「当然」だと思っていることを言語化し、共有する
夫婦関係において、時にすれ違いの原因となるのが、お互いが「言わなくても分かっているだろう」と思っている「当然の役割」や「期待」です。子育て中は特に、日々の忙しさの中で、抱えている感情や考えを十分に伝え合う時間が少なくなりがちです。
「これくらいはパートナーがやってくれるだろう」「私は母親(父親)だから、これをやるのは当然だ」といった無意識の期待は、満たされないと不満につながります。小さなことでも構いません。期待していること、困っていること、助けてほしいと思っていることを具体的に言葉にして伝え合う機会を持つように努めましょう。正直な気持ちを共有することで、互いの立場への理解が深まります。
メディアや周囲の情報に影響されすぎない
インターネットやSNSなど、現代は育児に関する情報が溢れています。中には、理想化された「母親像」や「父親像」が提示されていることも少なくありません。そうした情報に触れる中で、「自分はできていない」と感じてしまい、必要以上にプレッシャーを抱えてしまうことがあります。
大切なのは、周囲やメディアの理想像に自分たちを当てはめようとするのではなく、自分たちの家族にとって何が一番良いかを夫婦で話し合い、見つけていくことです。他の家庭との比較ではなく、自分たちの価値観や生活スタイルに合った子育ての形を、夫婦で協力しながら築き上げていくことに目を向けましょう。
まとめ
育児中に感じる「母親だから」「父親だから」といった性別による役割のプレッシャーは、夫婦にとって大きな負担となる可能性があります。しかし、無意識の固定観念に気づき、性別にとらわれずにお互いの得意や状況に応じて柔軟に役割分担を見直し、そして何より、日々の感謝や困りごとを率直に伝え合う対話を重ねることで、そのプレッシャーを少しずつ手放していくことができます。
完璧な「母親」や「父親」を目指す必要はありません。大切なのは、夫婦がお互いを尊重し、協力し合いながら、自分たちなりのペースで子育ての道のりを歩んでいくことです。少しずつでも良いので、今回ご紹介したヒントが、夫婦で力を合わせ、より穏やかな気持ちで子育てに取り組むための一助となれば幸いです。